K・Kさん 慶應義塾大学 環境情報学部

<分析>

都内の大学に通う大学生が、より高度な学修環境を求めて当学院に訪れました。学習姿勢は十分にあり、言われたことを実施することができる一方で、なぜそれが必要であるのか、という点について考えたり疑ったりすることができない状況でした。通常の大学受験や高等学校の勉強は、言われたことができるかどうかが中心となります。現代の学校教育の中では、この状態でも「優秀」と評価されてしまうため、さらに高度な能力が求められる場面ではそれ以上の成長が促されないことが多いのだと思われます。

<施策>

本人の思考力強化のために、特に集中して行ったことは「常識を問う」ことです。これは決して否定的に物事を見るということではありません。今、当たり前にあるものがなぜ必要なのか、どういう構造になっているのかを考えるように指導しました。たとえば、英語の学習はなぜ必要なのか、人はどのようにして言語を習得していくのか、言語習得においてどのような課題があるのか、といったように、私たちが当然のこととして行っていることを問い直す学習です。

<効果>

当学院の生徒たちは、学習相談において保護者と同伴で来ることが多いですが、一人で来る生徒も少なくありません。この生徒もその一人であったため、私たちは保護者の方とお会いすることはありませんでした。しかし、本人のご家族は非常に勉強熱心な方々であるようです。ある日、その保護者の方が、本人が書いた回答を見て驚いた様子でした。内容がまるで模範回答のようであると述べていたそうですが、それでもその回答は教室で改訂を指示されていました。これほどまでに鍛錬されてきた結果、本人は合格すべくして合格したと言えるでしょう。