常体(~である調)で書く理由
小論文は常体で書く
文書には、敬体(~です・~ます調)と常体(~である調)がある。敬体は丁寧な印象を与え、穏やかな表現により相手の納得を得やすい。そのため、共感や感情を伝える文章や手紙では適している。
一方、小論文では、共感を求めるよりも、自らの意見の論理を相手に「理解」させることが重要である。さらに、小論文には価値中立的な立場が求められる。これらを踏まえると、小論文は常体で書くことが適切である。
大学の特性を考える
上記のような説明が一般的であると思われますが、今回はもう少し踏み込んで考えてみます。「大学入試」というのは、受験生が「(その大学の)大学生」としてふさわしいかを判断します。では大学とはどのようなところかと言うと、高等教育機関としての側面と同時に、学術研究機関としての性質があります。大学生は、学術研究機関において学者(大学教員)に師事するという見方もできます。大学では、卒論という学術論文の提出(あるいは研究の遂行)をもって学位が与えられます。
こうしたことを踏まえると、入試はこれから学術研究活動をしていく者として、将来学術論文を書いていく者としての資質や能力を見極めるためのものであるとも言えます。こういった視点で考えると、「小論文」を課すことも、客観的な文章を常体で書くことが求められるということも理解できます。
基礎から応用
翔励学院では、このように「小論文は常体で」とただ形を学習するのではなく、その意味や理由を考えながら学習します。小論文の学習には、こういった作業が欠かせません。なぜ専門知識が問われるのか、なぜ課題文が出題されるのか、なぜエントリーシートがあるのかなど、大学ごとに出題傾向の背景があります。それを考えることで、相手の意図に合致した回答をすることができます。
そして、小論文は何よりも自分の意見を裏付ける「理由」が重要です。小論文の表現方法一つをとっても、きちんと理由を考えることができるからこそ、相手に理解されやすい小論文を書くことができるのです。