H・Nさん 横浜国立大学 経済学部 

入会当初である高校1年次の段階では、本人は経営学への進学を志望していましたが、学問としての「経営学」と実務としての「経営」、あるいは「経営学」と「経済学」の学術的な境界については、認識が判然としない状態にありました。学校での成績は良好であり、相応の学力を備えていたものの、進路選択を含む重要な意思決定において、直感や漠然としたイメージに依拠してしまう傾向が見受けられました。

<施策>

指導においては、事象を客観的な視座から捉え、論理的な根拠に基づいて冷静に状況を分析し、判断を下す「思考の規律」を確立することが緊要な課題となりました。単なる知識の習得に留まらず、自身の選択を学問的な文脈で正当化できるまで思考を深めるプロセスを通じて、安易な決断を排した、より強固な判断力を養っていくこととなりました。
そのような学習を進める中で、内在していた知的好奇心は、経済学にあるということが段階的にわかるようになっていきました。

<効果>

こうした探究のプロセスを経て、本人は経済学という学問が持つ論理的な体系と実証的な妥当性に深く共鳴するに至りました。社会における諸般の事象を、単なる印象論や主観的な感覚で捉えるのではなく、経済学的・統計学的なアプローチに基づき、客観的な指標とその緻密な解釈によって多角的に分析しようとする思考習慣が確立されました。

自らの視座を、定量的な根拠と理論的な枠組みをもって再構築するこの姿勢は、かつての不明瞭な判断基準を完全に払拭し、学問的な誠実さを伴った確固たる知性へと昇華されました。社会の動態を構造的に解明しようとする不断の試みは、本人の知的な成熟を象徴する歩みとなりました。