A・Tさん 慶應義塾大学文学部
<分析>
通信制高校に通学しており、体調面や体力面について懸念のある生徒でした。本人がこれまでに書かれた文章を拝見すると、小論文に対応するうえで必要とされる教養や知識は十分に備わっているように見受けられ、学力面だけを拝見すると一見すると問題がないのではないか、という印象を受けました。
一方で、学習にはある程度の演習量が必要となるため、先述の体調面の事情から、演習が計画どおりに進まない可能性や、授業後の復習に十分な時間を確保できない可能性も考えられました。そのため、通常よりも進度の調整や課題量の配慮などを行い、体調の状況を見ながら慎重に指導内容を決めていくことが望ましいと判断いたしました。
<施策>
そのような体力的な懸念がある中でも、本人は当学院が示す推薦書や課題に対して前向きに取り組もうとする姿勢が随所に見られました。授業のたびに新しく触れる知識に対して素直に驚きや興味を示されている様子があり、学びそのものを楽しんでいるように感じられました。
体調面によって、これまで十分に学びの機会を確保することが難しい時期もあったのかもしれませんが、その分、本人の中にはもともと強い知的好奇心が育まれていたのだと思います。そして、その興味関心が適切な学習環境に触れることで自然と引き出され、前向きな学習姿勢として現れていたように受け止めております。
<効果>
後日、当学院の開講記念イベントの際に来室された折にも、何か特別な表現を用いるわけでもなく、「(学院の生徒として学べた時間が)楽しかったです」と、自然な笑顔で語っていました。受験期というと、とかく辛さや不安の方が注目されがちですが、そのような時期に「楽しかった」という言葉が出たことは、学院としても、とても印象に残っています。
もともと本人の中には知的好奇心が強くあり、それを十分に発揮する機会が、それ以前には多くはなかったのかもしれません。演習を最後までやりきるだけの体力面に不安を抱えていたことから、途中で立ち止まる場面もありました。しかし、講師からの課題や推薦書づくりに真剣に向き合い、自分のペースで学びを積み重ねることで、次第に「知ること」「考えること」を楽しめる状態になっていったように感じられました。
大学入試においては「合格するために勉強する」という意識が前面に出てしまうことがありますが、実際には、合格を目的として力を注ぐ姿勢よりも、学びそのものを楽しめているかどうかが、結果的に合否を左右する場面が少なくありません。体調面をはじめとして、必ずしも順調に進められた期間ばかりではなかったと思いますが、最後に本人があのような言葉を口にしてくださったことが、何より学習者として成長できた証であり、その姿勢が合格に繋がった大きな要因であったように思います。

