Nさん 大阪観光大学(編入・留学生)

<分析>

 観光業のお仕事をされていた方で、再度観光について研究したいと考えておられました。外国籍であることから、留学生枠で編入試験に臨みたいとのことでした。編入試験そのものが若干名しか合格者が出ないこと、外国籍の方が母国語以外の小論文や面接で入試を突破することは、並大抵のことではありません。こういった条件の中でどのように入試を突破していくべきか、学習相談内で本人の話をじっくり聞き、観光業への愛着、将来のビジョン、そして大学で学ぶことに対する誠実な想いを共有しました。これらをしっかりと大学に伝えることができれば、合格は可能であると面談担当者は判断しました。

<施策>

  外国籍の方や帰国子女への小論文指導は、日本語表現指導の他、論理展開や文化的拝見など、乗り越えなければならない課題が多くあります。国によって「常識」としていることや、相手に理解してもらうための説明の仕方、行動などが異なるのです。今回のように国内の大学へ進学を希望する場合には、日本人である大学教員の方々に受け入れてもらえるように展開しなければなりません。

 ここで問題となるのが、自分の国で常識としていることが、日本ではそうではない、ということが実感としてもてない、という点です。これは海外生活が長かった帰国子女や留学生に多く見られます。そこで、複数の講師で交互に授業を担当することといたしました。複数の講師に同じような指摘を受けることで、自分の課題に気づくことができるのです。

 

<効果>

 入会当初は、小論文にひたすら自分の思い入れを書くのみでしたが、上記施策を積み重ねていくことにより、自分はどのようにして人の役に立ちたいのか、どのような社会貢献をしていきたいのか、という視点へと次第に文章が変化していきました。小論文は自分の意見を書くものではありますが、持論を展開するだけでは高い評価を得ることができません。今回の場合は、特に観光業ということで、旅行者や地域などに対する誠実な態度が、小論文や面接から読み取っていただけたのだと考えられます。