Lさん 二松学舎大学

<分析>

 文学部への進学希望とのことで、もともと本を読むことや文章を書くことは得意であったようです。本人が書いた文章を読むと、自分はこう考えている、ということを述べることはできていました。しかし、そこから「だから他の人も(自分と同じように)こう考えているだろう。」という論理に発展してしまう傾向がありました。自分と他人は立場や経験、考え方が違う、ということを頭ではわかっていても、文章を書いていく中で、こういった発想になってしまうのです。

 

<施策>

この問題を解決するために、担当講師は徹底して文章を書き出す前に、自分の思考を紙に書き出すように指示し、入試直前までこのトレーニングを実施しました。文章を書く前に自分の意見を確立し、対立意見や類似意見はあるか、その意見をもつのはどういう立場の人かなど、多角的な立場を考えること、どうすれば自分とは異なる立場の人が自分の意見を理解してくれるのか、それを第三者的立場で設計していくことを繰り返し練習しました。文章を書き出す前にこのような時間を取ることにより、本文作成の時短になると想定した戦略です。

<効果>

 試験当日、本人はどうやら焦って本文作成に入ってしまったようでしたが、書いていく中で直観的に、「このまま書き進めても不合格になる。」と感じたようです。そこから落ち着いて、再度学習した内容を思い起こし、多角的な意見を考え、自分の意見を一度書き出したうえで、本文作成を再度開始しました。結果、一度本文作成を取りやめ、本文の内容を考え直し、再度本文を書くという作業をしたにもかかわらず、試験終了5分前には本文を書き終えることができました。今回の戦略と効果に、誰よりも本人が驚いたようです